排尿障害のよりよい改善に向けて

第2回 クラシック音楽

クラシックのコンサートへ出かけよう!
生でしか味わえない迫力に圧倒されるはずです。

第2回 クラシック音楽
許 光俊さんプロフィール

1965年、東京都生まれ。慶應義塾大学で美学、東京都立大学でドイツ文学を学ぶ。現在、慶應義塾大学法学部教授。クラシック音楽評論家、文芸評論家。『人生最高のクラシック』『世界最高のクラシック』(ともに光文社知恵の森文庫)、『世界最高のピアニスト』(光文社新書)、『クラシック魔の遊戯あるいは標題音楽の現象学』 (講談社選書メチエ)、『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』『クラシックを聴け! 完全版』(ともにポプラ社)、『問答無用のクラシック』『クラシックがしみる!』(ともに青弓社)など著書多数。


本格推理小説と似ているクラシック音楽

―― クラシック音楽(以降クラシック)の魅力とは何ですか?

 意外に感じるかもしれませんが、一つは曲の「長さ」ですね。世界にはさまざまな音楽がありますが、クラシックのように大勢の演奏家が集中して緻密に長時間演奏し続けるジャンルはなかなかありません。曲によっては2時間を超え、最後はハッピーエンドにたどり着きます。これは例えれば、長編小説のようなものですね。あるいは大作映画にも似ています。長大な時間が流れ、紆余曲折があり、最後はハッピーエンドで大円団を迎える魅力を味わってほしいと思います。

―― このサイトはシニアの方が多くご覧になっていますが、経験を重ねた年配の方だからこそ感じられる、人生に通じる深みがありそうですね。

 長編小説でも途中読むのが辛い部分もありますよね。そこを乗り越えて読み通すからこそ、最後のスケール感に結びついていき、感動します。少し前にクラシックは長いから良くない、良いメロディだけ切ってくれればいいという風潮もあったのですが、それでは長編小説をバサバサ切って読むようなもので、最後の感動はないわけです。

―― その長いクラシックをどんなふうに聴いたらいいですか?

 クラシックは音楽家が「音」で作り上げたイメージです。音楽を聴いたとき、楽しい雰囲気や嬉しい感覚、あるいは悲しい印象を誰でも受けると思いますが、そういうものを素直に感じることがクラシックを聴く出発点ではないでしょうか。

―― 難しいことは考えずに、感じたままですね。

 そこが入り口だと思います。クラシックは曲の長さゆえに、何回も同じメロディが出てきます。悲しい感じで出てきたメロディが、明るみを帯びたり、元気な感じで鳴り響いたり、さまざまに姿を変えていくことがクラシックの醍醐味です。ポップスなどの歌謡曲では、悲しいメロディが出たら基本的にずっと悲しいままで、トーンは変わりませんよね。クラシックではトーンやリズムの変化を意識して聴くとおもしろいと思います。

―― その曲の大事なリズムやメロディはすぐにわかりますか?

 クラシックは録音という技術がなかった時代に生まれています。ですから、当時の聴衆は基本的に1回しか聴けなかったわけです。同じ曲を10回も聴いている人はほとんどいないので、1回聴いてわかるように書く、というのが大事なことでした。今の時代はCDがありますから、何回も聴いて、どうやって工夫したか知ることができます。

――聴き込むほどにおもしろさがわかってくるわけですね?

 クラシックは本格推理小説と似ています。推理小説も1回読んだだけだとわからない部分があると思います。読み返すと、これは伏線になっていた、この一言が犯行を暗示していたとか、そういうのがわかります。お気に入りの推理小説を再読するように、クラシックも何回も聴き直すといいですね。推理小説は小さなエピソードの積み重ねです。クラシックも小さなメロディを積み上げていって、長い曲が完成していくのです。

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